自閉症の大人との接し方は子供の時と同じ「ちょっと」を理解出来ない

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ここでは、「自閉症の大人の接し方」についてお話します。

 

自閉症は先天的な障害です。
幼児期、学齢期と療育を続けてきて、成人すると同時に治る、普通になる
(定型発達と同じ)ということはありません。

 

ただ、それまでの療育によって自閉症らしさが緩和され、
穏やかになっているケースは多いです。
しかし、自閉症である以上「自閉症の特性」は持ち続けていますので、
周囲との関係には配慮が必要です。

 

自閉症の大人への接し方は?

 

基本的には、自閉症の子供に対するものと同様です。

 

1.正しい自閉症の知識が必要

 

上でお話したように「大人になって治る」「大人になって発症する」
というものではないので「先天的な障害である」ということを踏まえて、
正しい自閉症の知識を持つことが大切になります。

 

どんなに言葉を操れる自閉症の人でも、言葉だけでのやり取りでは
思わぬ行き違いが生じ、せっかくの人間関係や職場関係を悪くしてしまう、
ということがあるからです。

 

2.わかりにくい表現、あいまいな表現は使わない

 

自閉症の特性の一つに「想像力の質的障害」がありますが
「この場面では、この意味で使われている」
ということを考えにくいためです。

 

決して知的に低いからということではありません。
「ちょっと待っててください!」
なんて、よく使いますが、健常者の方々は
「何となく、ちょっと」という意味で理解できます。

 

しかし、自閉症の人は
「どのくらい待つの?1分?2分?もっと?」と、
終わりが分からないことでとても不安になるため、
待っていられなくなるのです。

 

言葉の表現方法の「ちょっと」などという
「あいまいさ」を止めて「3分間」「何時何分まで」などと
具体的にすることで、混乱を防げます。

 

3.予定外の行動は避ける

 

日常生活では、スケジュールの「変更」「中止」が多いものです。

 

しかし、自閉症の人は「スケジュール通り」に進むと安定して過ごせるので、
その特性を生かして「変更」「中止」を出来るだけ避け、
やむを得ない場合も出来るだけ早く伝えるようにすることで、
混乱を最小限に抑えられます。

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4.感情のコントロールが苦手

 

定型発達の人から見ると「些細なこと」でも、自閉症の人にとっては
「耐え難いこと」であることもあり、容易にパニック状態になります。

 

また、いったんパニック状態になると「気持ちの切り替え」にも
弱さがあるため、なかなか平静を取り戻せません。
あらかじめ「苦手なもの」「パニックにつながるもの」を知っておいて、
それを避けることで混乱を防げます。

 

しかし、起こってしまったパニックに対しては、
気持ちを落ち着かせられる安全な場所で回復を待ちます。
この感情のコントロールが苦手なことも
決して「わがまま」ではありません。

 

自閉症の人が社会に安心して出るためには、周囲の健常者の方々の
「正しい自閉症の理解」が最も重要なのです。

 

私の体験談をしますと、長男は「養護学校高等部」を卒業後、
ある、「軽作業」をする、一般の会社に就職させました。
なぜなら、「より広く社会に馴染んで欲しい。」という
親の願いが込められていたからです。

 

しかし、「今までは、学校のバスで送り迎えしてくれた。」
「これからは、通勤方法を覚えて、正しく一人で会社へ行って、
自宅まで帰って来なければならない。」

 

という、自閉症の長男にとっては非常に困難な「自発的行動」を
私たち両親は、教え込まなければ、なりませんでした。
初めは、バスで通勤させました。

 

しかし、みなさんもご存知の通り、バスが1分、
2分くらい遅れるのは、日常茶飯事のことです。
上の記事でも書きましたが、自閉症は大人になっても
この「1分、2分のバスの遅れ」を理解出来ません。

 

ですので、度々歩いて帰って来ることが多くなってしまいました。
また、会社内での「人間関係」でも、結局折り合いが付かず
それでも、約2年間、この会社に勤めさせて頂きました。

 

今現在では、「バスで毎日送り迎えをしてくれる」
大人の障害者が通う、「通所施設」で、大好きな「油絵」も
描かせて頂きながら、「療育」を受け、「ボランティア作業」
なども、させて頂いております。

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