自閉症のこだわりの例とは?
ここでは、「自閉症のこだわりの例」についてお話します。
自閉症(現在は「自閉症スペクトラム」という)は、
脳の器質的な特性による先天的な障害です。
見た目だけではわかりにくく、症状としてはとても多彩です。
ただ、「自閉症」と診断されるには、
「ウィングの三つ組
(対人関係の特異性、コミュニケーションの質的障害、イマジネーションの質的障害)
の障害」がそろって診断されます。
この「ウィングの三つ組の障害」は3歳までに現れます。
自閉症のこだわりはなぜ起こるの?
自閉症の人が強くこだわりを示すのは
「イマジネーションがうまく働かない」
ということが大きな原因とされています。
たいていの人は
「歩くためには右足を出したら、次は左足を出して」
と、日常的に意識しなくても当たり前にできることが、
自閉症があると
「こうしたら次はこうなる」
という予測が難しいのです。
そのため、立ち止まって考えたり、
どうして良いかわからなくなって不安になって
パニックになったりするのです。
それの自己防衛的なシステムが
「こだわり」
なのです。
自分の知り得た範囲で裏切らないもの
(人や物などさまざまなもの)にこだわることで
安心を得るのです。
自閉症のこだわりにはどんなものがあるの?
自閉症の人それぞれで本当に千差万別ですが、一例をご紹介すると
1.数字:
カレンダーの数字、時刻表、電話番号など。
2.マーク:
ネオンサイン、道路標識、マンションなどの建物名、国旗、漢字、英語
3.物:電車や電車のおもちゃ、ぬいぐるみ、
乗り物や乗り物のおもちゃ、同じ銘柄の飲み物、
辞書、図鑑、ビデオ、DVDなど。
4.手順:
食事の食べ方、配膳の位置、自分の着席場所など。
5.人:
歌のおねえさん、体操のおにいさん、店員、駅員、先生
6.場所:決まった飲食店、決まった病院など。
7.色:
自分の好む色、嫌いな色がはっきりしている、
などです。
自閉症の人がこだわりを強めた時、どうしたら良いの?
自閉症のこだわりが強まる時は、
多くが
「不安が増した時」「その状況から逃れたい時」
です。
「最近の生活環境での新たな変化はないか?」
「よくわからないまま行動を促されていることはないか?」
「見通しはうまく伝わっているか?」
などをよく検討してみる必要があります。
不安が減り、わかりやすい状況で
生活することが多くなると
「こだわり」
は減ることがわかっています。
そういった意味では周囲の人たちに
「困ってます!」
をアピールしているのです。
「なんでこんなことばかりするんだろう」
と嘆くのではなく、大切なメッセージとして
しっかりキャッチして、
普段の生活を振り返ることが解決を早めます。